死にたい気持ち、生きる意味について考察

希死念慮持ち。内容は個人的思想です。気持ちに余裕がある時に更新します。

音楽指導の技術・宗教音楽は何故完成度が高まりやすいか

"同じ心、同じ思いになって、堅く結び合っていてほしい。"
コリントの信徒への手紙1章10節

1:10さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの名によって、あなたがたに勧める。みな語ることを一つにし、お互の間に分争がないようにし、同じ心、同じ思いになって、堅く結び合っていてほしい。
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こんにちは。
今回は、音楽について書きたいと思います。

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・音楽指導の技術


突然ですが、皆さんは音楽は何によって完成度を高められると思いますか?

音楽は、「テンポ、強弱、正確さなどの演奏技術」、「メンバー相互の信頼」によって質を高められる、と考えられる方が多いのではないでしょうか。

しかし、練習する中で、「心を込めて」「感情表現豊かに」と言うだけの抽象的な指導をされて困った経験のある方もいるのではないでしょうか。

私ももちろん、演奏技術、信頼はとても大切だと思います。また、抽象的指導も大切だと思いますが、抽象的指導だけを行うことには、疑問を持っています。

演奏の質を高めるために、また、抽象的指導に終始しないために、私は、「ビジョンの確立、共有」が大切だと思います。
「ビジョン」とは、情景、感情、物語などのものです。
例えば、クラシックの曲では、「この曲は作曲者が、身分違いの女性への恋慕を描いたものである」という感情や「飢えた鹿が森の中で泉を探すような、人の心の渇きを表現したものである」という物語などです。
ポップスであれば、純粋に「楽しさ」を表したもの、「離別の哀しみ」を表したもの、「心の衝動」を表したものなど様々あると思います。
上記が「ビジョンの確立」です。

次の「ビジョンの共有」は、演奏者の中でその曲への思いを共有するということです。この際、「感情」や「物語」を、「演奏の際にどのように表現するか」という"ビジョンから演奏表現への翻訳"が必要になってきます。この行為を行わない場合、抽象的な指導に終始することになると思います。具体的には、「物語」に合わせてメインフレーズを目立たせることであったり、「感情」に合わせて、サビに向かってクレッシェンド、デクレッシェンド、リタルダンドスフォルツァンドなどを配置し、さらにその情報をメンバーで「共有」すること、などです。(もちろん、楽譜の指示を尊重した上で、上記の演奏表現を考え、自由に配置し、メンバーと共有していきます。)
「感情表現」「心がこもった演奏」というものは、決して全部が言語化不可能なものではなく、ある程度までは具体的指導に置き換えられるものだと思います。ですので、演奏技術の高い人ほど、自分の演奏を客観的に分析して、他者に「こういった演奏表現もあるよ」と押しつけせずに伝えることで「楽譜通りでない、その人らしい演奏」を手助けすることができるのではないでしょうか。


上記を踏まえて、音楽練習のステップは、下記のように表せると思います。

・音楽練習のステップ
①楽器の演奏技術をだいたい身につける
②だいたい楽譜通り演奏できるようにする
③(合奏の場合)メンバーと合わせてそこそこ楽譜通りに弾けるようにする
④「ビジョン」の確立、共有をする。(確立は基本的に一人が行う方が一貫性を持たせる意味で良いと思います。メンバーからの意見を活かすこともとても大事ですが、全員の意見が揃うことは珍しいので...)
⑤「ビジョン」の表現のために「ビジョンを実現する為の具体的な演奏表現の設定」を行う。
(複数人が合奏する場合、特に具体的な演奏表現の指導が重要です。というのも、指導者が「心を込めて」「感情豊かに」という抽象的な指導をして、それによってどの程度演奏が改善されるでしょうか。プロともなると違うのかもしれませんが、少なくとも私の見てきた限りでは、「抽象的な指導だけを行うことは、ほとんど演奏の改善に意味をなさない」と思います。)

逆に言えば、具体的な演奏表現指導ができる人が指導をし、「ビジョンの共有」ができている団体は、多少演奏技術に難があっても「良い演奏」をすることができるのではないか、と私は感じています。


・宗教音楽は何故完成度が高まりやすいか

記事タイトルにした"宗教音楽が何故完成度が高まりやすいか"ですが、この答えは、
「ビジョンの共有が既に行われている」
これに尽きると思います。

讃美歌などは、その名の通り「神を賛美する、神に感謝する」性質のものであり、演奏する人々は基本的に、既にその姿勢を持っています。さらには、同じ教会などのコミュニティに属する人々であれば、それまでの交流から相手の気持ちや考えをある程度理解しており、合奏の際に妨げとなる「メンバーに対する信頼の不足」が少ないです。
単純ですが、「ビジョンの確立、共有」といった視点から見ると、宗教音楽の完成度が高まりやすいのは上記の理由があると考えられます。


音楽には、明確に解明されていることは少なく、経験則からしか語れない部分も多いですが、技術だけではなく「ビジョンの確立と共有」といった視点があるということを知っていただきたいと思ってこの記事を書きました。「抽象的な指導」は、初心者の方に「やっぱり音楽ってわかんないわ」と匙を投げるきっかけになりうる行為だと思います。「抽象的な指導」だけに終始せず、その一歩先まで考える方が一人でも増えると良いと思っています。
音楽は「言語を用いないコミュニケーション」です。「ビジョンの共有」を、言葉を用いて先に行っておくことで、音楽によるコミュニケ―ションをより快適に行い、「音楽を楽しむ」方が一人でも増えることを願っています。

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